「ブエノスアイレスのマリア」は、ピアソラの作品で、唯一私が歌っているもの。
一見難しそうに聞こえるようですが、勢いがある曲なので、歌はそれほどでもないのですよ。
その分、主旋律以外のミュージシャンは、エネルギーを使うようです。
アルゼンチン・タンゴを芸術の域へと導き、クラシックの現代音楽へと押し上げた天才音楽家の
アストル・ピアソラ (1921-1992) 作曲 / オラシオ・フェレール (1933-) 台本によるオペラ。
ピアソラが生涯最悪という深刻なスランプから脱却し、
のちに彼の妻となる歌手のアメリータ・バルタール捧げられたというタンゴ・オペリータです。
日本では、「受胎告知のミロンガ」という曲名で、ヴァイオリン等のインストゥルメンタルとして、
あるいはカンツォーネ歌手「ミルバ」を通して耳にしたことがあるという方が多いと思いますが、
このCDは、1968年、ブエノスアイレス、プラネータ劇場での 初演のオリジナル・メンバーによるもので、
マリア役はもちろん、アメリータ・バルタール自身が歌っています。
ピアソラ& フェレールと&バルタールの3人は、その後、「ロコへのバラード」という世界的大ヒット曲を生み出しています。
ストーリーは、ピアソラの音楽そのもののように 哲学的な美しさで絡み合っているので・・・ かなり複雑。
タンゴという音楽そのものを擬人化して、悲惨なマリアの人生を通して、タンゴという音楽が出来上がるまでの苦しみを表しています。
絡みあい、響きあい、もがくような、うねるような、ピアソラ特有のバンドネオンの音色が、
終焉へと向う苦悩や不安感を煽り苦しいほどです。
アルゼンチン・タンゴが、ミロンガ、ジャズ、クラシック、ハバネラ、アフロアフリカン、ヨーロッパのワルツ・・・まで、
様々な要素の音やリズムを採り入れながら進化してきた理由は、移民としての貧しい生活からだという。
パリを模してつくられたブエノスアイレスという街。
もう10年以上前になりますが、私の仕事はパリだけだったのですが、
そのまま 光蘭社さん、永田文雄・前田はるみご夫妻にくっ付いて、
一週間程、ブエノスアイレスに滞在したことがあります。
その時に、この舞台をブエノスで観ることができたのですが・・・???難しかったです。
ブエノスアイレスという街は、中心からすこし外れると、夜はタクシーも嫌がって行ってくれない真っ暗闇の街と草原。
サッカーからは想像つかないような、けっこう怖いところでした。