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ピアノの思い出
ひとりっ子で自閉症気味だった私に母はいろいろな習い事をさせてくれた。
ピアノを習い始めたのは、バレエと同じ・・・3歳の頃からだったと思う。
最初は近所の小さな音楽教室。引越しをきっかけに、目白にある有名な先生のお宅に通わせてもらっていた。
先生のお宅は古い瀟洒な洋館だった。今もあるのだろうか?
もし残っているとしたなら美術館か、ナントカ記念館。といった類になっている方が、より自然に思えるような建物だったと記憶している。
与えられたソナチネの楽譜は、それまでの赤や青の表紙ではなく、あの憧れのモスグリーン色の楽譜だった。
大人の楽譜。音符がとても小さく感じたのを鮮烈に覚えている。
表紙には監修 平田○○と先生の名前が印刷されていた。

ご夫妻それぞれがピアノの先生で、奥様は子供達を、ご主人はプロのピアニストや音大を目指しているような優秀な生徒たちを教えていた。
敷地の中に小さな洋館の離れがあって、そこは奥様のもとへ通ってくる生徒の為の建物となっていた。
ミシミシと大きな音のするウグイス アヒル張りの階段を登った2階の先に待合室があって、その奥にレッスン室があった。

そのドアを開けること、それは今思うとステイタスの象徴だった。
ギィーと重いドアを開けると、必ず母親と小さな子供が何組か、今稽古してもらっている子供の曲の楽譜を開いて、熱心に目で追っていた。
そこは、親も子供と同じ楽譜を持ってくるように指導していたから、きっと親の殆どがピアノを弾くことができるような家庭だったのだろう。

私はそんな時はそこで何をしていたのだろう?
??覚えていない・・?? 
けれど、母が無理して同じ行動をとってくれていたことは覚えている(笑)
後に母は、三味線の三線譜を五線譜に書き直したり、その逆をやったりして、
当時でも貴重な三味線写譜屋業?で、父が亡くなったあと、結構な高額アルバイトになっていたというから・・・尊敬!

あの頃、大先生と奥様はお幾つでいらしたのだろう。
姿もアップにした銀髪も、声も、言葉使いも、幼かった私の目にはすべてが夢物語。そう、正に夢心地。
古い映画の場面のように・・・素晴らしく美しい老夫婦だった。

ところが、私はそんな環境だというのに
ピアノの前に座ると!!!  寝てしまうのだ!!!
催眠術にかかったように、あっという間に、熟睡タイムに入るのだ。

大好きな先生なのに・・・
毎回、必ず・・・ ピアノの前で船を漕ぐ。白河夜船の木偶人形。

母は、レッスン室の後ろの 付き添い用の指定された椅子に座り、楽譜を開いて小さくなっていたらしい。
あまりに申し訳ないので、何度も 「もう やめさせます。」と言ったそうだ。
でも、先生は
「いいんですよ。寝ていてもちゃんと音楽は入っていきますから、大丈夫ですよ」
そう、おっしゃって、1本1本、私の指を鍵盤に持ってゆき、ピアノを弾かせ続けてくださったのです。
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待合室の親子も、1時間、ショパンじゃない「雨だれ」を聴かされて、気の毒に。。。

そして、教えてくださった先生はマリアさまだ。

もし、あのままピアノをやめることになっていたら、
というか、あの卓越した先生じゃなかったら、間違いなく私の人生は変わっていただろう。
そう思うと恐ろしくなってくる。 
お医者様と教育者は本当に疎かに考えてはいけないと思わざる得ない。
現実、私は睡眠学習のお手本のごとく、上野の文化センターでの発表会で
「幼稚園生でも、これだけ(寝ていても)弾けるようになります。」と特別に大先生のコメントが入った程に、
ピアノの音は頭の中に入ってくれていたのだから。

先生が病気になられて、私は暫くして武蔵野音大の付属音楽教室に移り、
仏子の山の中に通うのがイヤで、国立音大の付属高校に入ってしまったのだが、
ひょっとしたら?才能あるのかしら?という期待は、幼稚園のあの時がピークだったようです(笑)
ただ、ピアノの前で眠くなるという才能は開花して、
のちに、都合が悪くなると眠くなる という進化を遂げたのでした。
by mariko-sugita | 2006-07-13 02:05 | コラム column | Comments(4)
Commented by kugayama2005 at 2006-07-13 04:16
ピアノを弾きながら眠る、凄い!・・・ところでこの告白シリーズ、次あたり初恋の思い出、とかお願いします。
Commented by mariko-sugita at 2006-07-13 04:27
ひょっとして? もう 「おはよう!」 なんですか?
Commented by kugayama2005 at 2006-07-13 08:48
いいえ。4時半から6時半までは眠ります。「杉田真理子子守唄をうたう」という企画はいかがでしょうか。歌いながら最後は歌ってる本人がグースーピーと眠ってしまうというものです。特に不眠症のヒトにきっと大うけですよ。
Commented by komo6246 at 2006-07-14 09:13
おはようございます。
睡眠学習、素晴らしい能力ですね(^^)。
きっとイヤなことを消化するのにも役立っているのですよ。
目白は好きな街のひとつで、古道具屋などを覗きながらたまに散歩します。
その洋館、いまどうなっているのでしょうね。

銀巴里、むかしむかし予備校生の時に、
友人に連れられて行ったことがあります。
どなたが出ていたかは覚えていないのですが、雰囲気だけをなんとなく覚えています。

やはりだいぶ前のこと、銀座の和光の前で信号待ちをしていたら、
黒い車から黒いスーツ姿の石井好子さんが降りてこられ、
その足首の美しかったことをよく覚えています(^^)。

今日は四ッ谷でお仕事。
頑張って下さい!
アツシ
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