パリ祭は、私にとって一年の前半戦の終了と夏の訪れの合図だ。
このリズムで過ごすようになってから、もう何年たつのだろう。 こんな理由もあって他の人より短い日数で迎える一年の後半は余計に早く過ぎてしまう。 暑い夏の真っ盛りに秋の支度。すぐにシャンソンの季節=枯葉の季節が訪れる。 ジャズの世界の大きなイヴェントの中には、主催者やスタッフの方たちが、2年以上も前から準備に携わっているものもある。(それでも、結局前の日はバタバタなのだ。) (ジャズは本来A型向きの音楽ではな~い。B型万歳の世界だ。でも好きなものは好き) そんな実情が少し解かるようになってくると、参加させてもらえる意味の本当の大きさにようやく気づいてくるものだ。(クラッシック系はそのスパンが5年、10年でスケジュールが埋まっていくそうだ。 いつ死んでも構わないとか、舞台で死ねたら本望とか言う自由さえも無いという事だ。) 不器用な愚鈍の私は少しでも早く自分の体制を整えておかなければ・・・B型に何を突然要求されるかわかったものじゃないのだから(ママはB.私はA。日頃から学習済なのだ)・・・ なるべく前倒しにしておこうと、あわただしく年末の準備に入っても、すぐに、一ヶ月クリスマスソングを歌う季節がやってくる。あとは冬を駆け抜けておしまい。 あっという間に時は過ぎてゆく。 すべては春の世の夢の如し。平家物語もムスタキもレオ・フェレも等しく、正に歌の通りだ。 若手の歌手の少ないシャンソン界で、新人と言われ続け驚くほどの歳月がながれていった。 途中、パリ祭でしか歌わない年が5年間もあったのだが、今の私の中ではもう計算が合わなくなっている。時系列と記憶の中の時計が違うところをさしている。キューブリックも真っ青だ。 最近は、覚える為に100杯の時間を要するのに、次から次へと忘れてしまう。肝心な事もそうでない事も、おかまいなしに忘れ去って、我ながら心配になってきた。 そこで考えてみたのだが、 催眠術師が人の記憶を糸を手繰り寄せて本人も忘れている記憶を蘇らせるように、 鮭が自分のルーツを目指すように(これは関係あるような無いような?) 時間を逆にさかのぼって整理してゆけば・・・ きっと置き去りにしてきた様々なものを思い出せるだろうと・・・ 何よりも、この先あと何年歌えるのか解からないが、(・・? ナゼ今の自分はこうしているのだろうか? 自分をつくった責任を自分に問い正してゆけば、きっと+α の世界へつながってくれる。 今の私にものすごーく必要に思えるのだ。 それに・・ ボケて能力が急降下している私にピッタリのリハビリでもある。 「一昨日の晩御飯のおかずを思い出せますか?」みのもんたの得意そうな質問だが、 「冗談でしょ。ヘタすると夕べのおかずも思い出せやしないのにぃ。。。」マジで関係各位から心配されている程のボケっぷり。親にまで心配されてガックリ!。 自分史を書こうと考えている人にも、是非お勧めの手法だ。 [忘却の河]を遡れ・・・ [忘却の河]というのは、ボードレールの悪の華の中の一遍にレオ・フェレが曲をつけた作品だ。 私は、古賀力さんの訳詩で歌っている。この方向の作品は個人的にも大好きな世界だ。 人の心の底を流れる河なんて、エロスと汚泥の塊かもしれない。 記憶の薄れは神の優しさだとも思う。心の痛みを時間が解決してくれる。大いなる救いだ。 それでも、前に進む為に、 頭の中の霧が晴れていつかのようなスッキリとした高い空が見えてくるまで・・・遡れ。遡れ。遡れ。
by mariko-sugita
| 2005-08-21 04:25
| chanson
| by mariko-sugita
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